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2013年02月

パン屋の集客(パン屋開業で失敗しないために)


パン屋を開業することは簡単でも集客するのは難しい、特にブログを使った集客は難しくコンサルタントの話は鵜呑みにしない方がいいですよというお話です。パン教室開講にも当てはまる話です。
集客に関心のある方だけお読みください。


最近知ったのですが、私を引き合いに出してパン屋開業時の集客ノウハウ冊子を配布している会社があります。
私が実名で登場していますが、私とこの会社は何の関係もありませんし、私は何も承諾していません。
その上、Breadioのホームページやブログの画像まで無断で使っています。びっくりです。

中身を見ると
・修業経験の未熟な主婦
・パンも特別美味しくない
・チラシを打たずブログの活用で開業時の集客に成功した
とあります。

また随分失礼な書かれ方をしたものです。ショックでした。

この冊子を作成したのはブーランジェ(シェフ)として成功したその道のプロでもなければ、WEBの専門家でもありません。飲食系のコンサルタントです。

冊子の中では「パンの味はよく分からない」と自ら言いながら、味を経歴で判断しています。
味の評価は食べる人の舌によるのでどう評価されても構わないですが、この人は
正社員として修業していない=美味しくない、人脈もない
というお考えのようです。

そして「ブログの活用で開業時の集客に成功した」と結論付けているのですが、何か根拠や裏付けでもあるのかなと思えば、「開業する3年も前からブログを書き続け、そのストーリー性が共感を呼び集客に成功」という説明に終始していて

え?それが根拠?って感じです。

ブログが集客に効果があったかどうかを裏付ける根拠って、ブログを書いていた期間や内容じゃなくて実際にブログを見てお店に来たお客様の数やブログのアクセス状況だと思うのですが・・・


■ブログで集客できる?
ここからが本題です。

私のお店には遠方から来られるお客様、ブログを見て来られたお客様も確かにいますが、地域のお客様が圧倒的大多数です。

考えてみれば当たり前のことです。
地域に認めてもらえないパン屋さんなんて長続きする筈もありません。

で、開業時に地域の方はブログを見ていたのかというと、スタッフや主婦友などごく一部の方しか見てなくてブログの存在すらあまり知られていませんでした。
本当かどうか開業直前1か月間のブログのアクセス状況を夫に調べてもらいました。

アクセス数

調べた結果
・アクセス数(ページビュー数)は46,707なので1日あたり約1,500
・アクセスした人の数(訪問数)は16,099人なので1日あたり約520人
・複数回来た人を1人とカウントすると(ユーザー数)は6,143人なので1日あたり198人でした。
お料理系ブログの中では、アクセスの多い方だと思います。

次に、開業直前1か月間にアクセスした人の数を地域別に調べてみると

アクセス状況地域別

・アクセス元は全国に分散
・お店のある堺エリアに限定すると128人なので1日あたり約4人でした。
この人数には私や友達、お店のスタッフなど身内も含まれています。

ブログを見て遠方から来られるお客様もいるので、ブログが役に立っているのは間違いないです。
でも、肝心の地域の人からのアクセスは全体の2%しかありません。
1日1,500アクセスあっても地域で認知されているとはとても言えないのです(あくまでも私の場合ですが)

なので「ブログの活用で集客に成功した」という分析は間違っています。私には当てはまりません。
1年経った今はどうかと思って調べてみたら2%を切ってました・・・

「この人はチラシも打たずに人を集めた。きっとブログで集客に成功したに違いない!」と思い込みをしているのかもしれませんが、パン屋さんがブログで地域集客するのは正直難しいと思います。


■ブログで集客するなら

それでもブログで集客したいと思うなら、まずはアクセスを集めなければなりません。

でも、パンに無関心な人からのアクセスをいくら集めても集客にはつながりません。パン好きな人達(見て欲しい人)からのアクセスを集めることを意識すべきです。

そのためには
・コンテンツはパンの話題に絞る
・人の役に立つ記事を書く
・宣伝しない
が鉄板です。私は新商品の宣伝していますけど(汗;

要はヲタクに徹するほどアクセスが集まるんです。
ブロガーなら大抵は知っている基本的なことですが、こういった基本を指南できる飲食系コンサルタントは少ないです。

そして、地域集客をしたいなら、
① ブログをFacebookやTwitterと連携する。
② 地域のブロガーと積極的に交流する
③ 地域読者とのオフ会を定期的に行う
④ ブログ割引などの特典を設け店頭で告知する。
など、時間を割いて取り組めば効果があるんじゃないかなと思います。(私は①以外はしていないので根拠はありません)


■広告宣伝

私はオープン以来、チラシを含め広告宣伝をしたことがありません。
それでも有難いことに、今のところお客様数・売上ともに順調に伸びています。

私が広告宣伝をしない理由は、広告宣伝に代わるもの、口コミがあるからです。
ブログやSNSではないです。先に書いた通り私のブログに地域集客力はありませんし、Facebookを始めたのもごく最近です。

私の場合、もともと自宅で料理教室をしていました。
その後、大手スクールの認定パン教師となり自宅でパン教室をしながら
3軒の特徴の異なるパン屋で修業し
製パンの専門学校でアシスタント講師として働き、
自宅での受注販売を経て開業しました。
合計10年以上になります。

パン屋で長年正社員として修業した男性が独立開業しても本人に固定客が付いているわけではないと思います。
でも、地域密着の主婦だからこそ得られるアドバンテージはたくさんあります。

正社員として修業していない=美味しくない、人脈もない
チラシを打たずにブログで集客した

と書かれていますが、パン屋さんもパン教室もお客様の大半は地域の主婦ですから、もっと主婦目線で考えた方がいいと思います。パン屋さんの口コミを発信するのは主に主婦なのですから。


■コンサルタント

コンサルタントの話が自分の価値観と一致したとしても、それは沢山ある事例・ノウハウの1つでしかないです。

大切なのは、特定のコンサルタントの話を鵜呑みにするのではなく、「そういう考えもある」「でも本当にそうなの?」と1人でも多くの人の考えを聞くことじゃないかなと思います。

そういう意味では、この記事も「そういう考えもある」程度の参考にしてください。

でも、1つだけ確信をもって言えることがあります。
ブログやSNSなどのネットを活用した集客に関心があるなら、飲食系コンサルタントよりもWEB系コンサルタントの話を聞くべきだと思います。
やっぱり餅は餅屋です。




パン屋を1年やってわかったこと、感じたこと


1年前、忘れられないオープンの日。
一番大事な日にドゥコンの設定をしくじり前日仕込んだ生地を台無しにしてしまい、朝から全て作り直し。オープンの時間になってもほんの少しのパンしか用意できなかったのです。

パンはすぐに売り切れ、オープンキッチンで追加のパンを慌てて作っている姿を目の前で大勢のお客様がじっと見ながら待っている。
焦るし、これ以上失敗できないし、すごい視線・・・
お客様の方は見ず必死にパンを作っていたあの日。

あの苦いデビューから1年、無我夢中で今日まで突っ走ってきました。
気が付けば1年前と比べてお客様の数もメニューの数も作る量も随分増え、お店も私も少し成長したように思います。


■お店の状況
お客様の数は曜日や天候に左右されますが1日平均100名(組)様ほどで8割から9割くらいが女性のお客様です。

よく「繁盛してますね!」と言われるのですが、売り場に大人4人も入ればいっぱいになる小さなお店なのでそう見えるだけだと思います。

でも同業の方が見たらきっと不思議に思うと思うんです。
「1人でもできそうな小さな店に、なんでこんなに大勢のスタッフがいるんだろう?しかも週休2日!?
やっていけるのかな」と。

確かにお昼の入れ替わりの時間帯は狭い厨房に4人も働いています・・・
そうなんです、パン屋さんだけだとまだまだ食べていけないです、夫が会社員で共稼ぎなので大丈夫ですが。

小さな規模のお店が冷凍生地や業務用フィリングを使わずに、手作りにこだわり過ぎると貧乏暇なし!ということがリアルに分かった1年でした。


■量の壁
量の壁を少し乗り越えてきた感じがするというか、これまで見えなかった量の壁が見えてきました。
目の前に大きな公園があるので春や秋は特にお客様が多いのですが、気持ちのいい穏やかな日はオーブンなどの設備を限界まで使うことが結構あります。
設備の規模が小さいので、タイムスケジュールの改良を繰り返しながらやってきたのですが「どこまでできるかチャレンジ!」な感じの忙しい日は、追加追加でドンドン作り、これ以上焼きたくても焼けないという限界に達します。

本当にこれが限界? もうちょっといけるかな?
という感じもして、何度かチャレンジしてみて「やっぱりこれが限界だ」と分かるまで1年近くかかりました。

設備の限界がわかった、これまで見えなかった量の壁が見えたということは、最初の試練は越えたのかなと思っていたのですが・・・1周年の2月2日、ついにその壁を超えました。

この先どうしようか、設備やスタッフを増やそうにも狭すぎて無理だし、移転なんてとてもとても・・・
きっと、多くの先輩方はこういった問題を乗り越えてきたんだろうなと思うのですが、今の私はそれが分からなくて悩んでいます。


■こだわり
冷凍生地や業務用フィリングを使うと短時間で大量の商品を提供することができます。
今や冷凍生地を使って商品数を増やすパン屋さんも多く、全く使っていないお店の方が少数派です。

それらを使うと、もっと早く帰れるのは間違いないし、売上はもっと上がるだろうし、私の悩みも解決するかもしれない。

でも・・・
業務用のカスタードの味がするクリームパンやマーガリンの味がするクロワッサンなんか私は食べたくないし、添加物だらけのパンや次の日にパサパサになるパンは買いたくないです。
私は自分が毎日でも安心して食べたくなる美味しいパンを作りたいのです。

厳選した材料と手作りでしか出せないピュアな味、買った次の日もパサつかないしっとり美味しいパンを作る技術。
それがこの店の価値だと思うので、手作りへのこだわりだけは捨てられないのです。

パン屋さんだけで生計を立てていたら、そんな悠長なことは言ってられないでしょうけど・・・


■時間の壁
こっちは相変わらずです。
スタッフもみんな手際がよくなって仕事がすごく早くなりました!でも作る量を増やしているので結局働いている時間はあまり変わらないです。
試作とか改良とかやりたいこともいっぱいあるので1日15時間はお店にいます。それでも以前よりは早く帰れるようにはなりました。

睡眠不足も相変わらずですが、12月から定休日を週2日(日曜・月曜)に増やしたので体は随分楽になりました。
足の痺れも少しずつマシになってきているし、指のケガもやっと治りましたよ!

怪我をしたり、体調が悪くても私は休めないのでつらい時もありますが、情熱を注げるから頑張れるということがよく分かった1年でした。


■家庭との両立
月に1回するかしないか程度だった外食が、週2回くらいに激増しました。
子ども達のお弁当も毎日は作れなくなりました。
庭の花や樹をいくつも枯らしてしまいました。
休みの日も休みじゃないくらい忙しいです。

それでも夫や子供たちは毎日家事を手伝ってくれます。

家庭との両立は本当に大変です。
女性の起業は家族の支えなくして不可能だなぁとつくづく思います。


■アングラ
①何月だったか詐欺に合いました。
地域のパン屋さんが何軒もやられた知能犯でした。
お店に来たその男性
「XXXという会社の者ですがサンドイッチを30個予約できますか?明日会社の者が取りに来るので準備お願いします。電話番号はXXXX-XXXXです。」
「あと、いくつか買って帰ります。代金は明日まとめてでいいですか?」

なんとなく気になって電話をしてみると、「おかけになった電話番号は・・・」
みごとに引っかかってしまいました。。。

②タウンワークに求人広告を出すと、必ず振り込め詐欺から郵便が届きます。
求人広告を切り取って貼った紙と振込用紙が届くのです。ゴミ箱に直行→です!

③一番多いのはホームページ制作会社。
「グルメサイトで紹介したいので取材したい」という切り口で電話をかけてくるのですが、グルメサイトというのは、その会社が作った平凡なリンク集。
そして「検索サイトで有利になりますよ、スマホ用のホームページ作りませんか」と持ちかけてきます。
飲食店が"取材"という言葉に弱いのを言葉巧みに突いてくるんですね。。。

アングラな社会が実は身近にあったことを知った1年でした。


■凹んだこと
開業前は、主婦業に加え自宅でパン教室や受注販売をしながら複数のパン屋さんの仕事を掛け持ちしたりしていたので体力だけは自信があったのですが、その体力をもってしても毎日フラフラになります。
限界だよ~と思う自分に凹みます。


■一番凹んだこと。
オープン時にいただいた沢山のお祝いのお花。
もともとお花が大好きで私生活でもよく買うのですごく嬉しかったんです。

でも、その綺麗な沢山のお花がオープン5日目に根こそぎ誰かに持って行かれました。
立派な胡蝶蘭も、まだ蕾のチューリップも、大きな観葉植物までも。
短時間の間に忽然と消えました。。。

せっかくいただいたお花なのに。さすがに凹みました、凹凹凹凹凹くらい。。。
お店の外に並べていた私がいけなかったんだと思いますが、ひどいことをする人がいるんですね。
今まで恥ずかしくて申し訳なくて言えませんでした。ごめんなさい。


■嬉しかったこと。
たくさんの人と知り合えたこと。
素晴らしいスタッフに恵まれたこと。私と同じ目線でお店の事を考えてくれるスタッフ。お店の宝です!

お客様に「美味しかった」と言ってもらえた時はそれまでの疲れも吹っ飛ぶくらい嬉しくて、パン屋さんをやっていて本当に良かったと心の底から思えます。


■つながり
どうしても思うように焼けない時、年に1・2回ですが今でも師匠に相談に行くことがあります。
急に専門材料が足りなくなった時、以前働いていたパン屋さんが材料をまわしてくれます。
お知り合いになった有名店のシェフの方はとても気さくでいろいろ教えてくれます。
この1年間に専門学校時代の生徒さんが3人お店を出しました。そして今お店で修業しているスタッフが今年独立してお店を出す予定です。経営スタイルは十人十色ですが刺激になることが多いです。
開業前からのお客様や主婦友はコアなリピーターになってくれています。
業者さんとの信頼関係も出来て多少の無理は聞いてもらえるようになりました。

こういった繋がりはどれも本当に心強いです。
開業前に数軒のパン屋さんで修業して良かったと思うし、知り合いの多い地元で開業して良かったと思うし、人と人との繋がりが本当に大切なんだなって実感した1年でした。


■これからのこと
毎日がすごいスピードで流れています。明日のことを考える余裕すらないくらいに。

流れに任せて精一杯のことをしてきたけれど自分が夢みた小さなパン屋さんとは違うスケールになってきていて、これから先どうしようかと暗中模索しています。

前を向いて今できる事を精一杯やる。お客様に美味しいと喜んでもらえるパンを作りたい、今はその思いだけです。
その中で新しいメニューの開発やイベントなどを企画していけたらなって。

まだ一年。これからもBreadioはお客様の身近なパン屋さんとして頑張ります!
どうぞよろしくお願いします。


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